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読むべし! [読書]

ちょっと前の話題ですが、ボクシングの村田選手がWBAミドル級のチャンピオンになりました

見事に再戦を制してのベルト奪取、おめでとうございます

次はゴロフキンと東京ドームで
なんて話が出てましたが、実現したらエライことですわ

村田選手自身、勝ち負けよりも対戦できたら嬉しくてしょうがないと思います

さてさて、本題ですが、「黄金のバンタムを破った男」を読みました

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これはファイティング原田さんを中心としたお話で、非常に読み応えがありました[exclamation]

すでにボクシングと呼ばれている時代なんですけど、「拳闘」と呼ばれていた頃の雰囲気が感じられ、グイグイと引き込まれていきます

あしたのジョーのモチーフになったエピソードも沢山書かれており、ジョーファンには感慨深いものがあります

タイトルの『黄金のバンタム』とは、無敵のバンタム級チャンピオンであったエデル・ジョフレのことです

圧倒的テクニックによって勝ち星を積み重ね、現代においてもバンタム級歴代最強と謂われる偉大なチャンピオンです

その偉大なチャンピオンをファイティング原田は倒し、白井義男以来、日本人2人目の世界チャンピオンになるのです

圧倒的不利な下馬評の中、いかにして原田は勝ったのか?

偶然的なのか必然的なのか、様々な要素が重なり合ってマジックが生まれました

また、この時代に登場するボクサー全てが掘り下げて書かれていますので、読んでるとみんな応援したくなります

ボクシングファンなら明日のために
読むべし
(意味わかりますよね?)







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自然体 [読書]

 元西武ライオンズ投手で現西武ライオンズ1軍投手コーチ・西口文也さんの「自然体」を読みました
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2015年暮れの発売でしたので、引退してすぐ出版されてたんですね

最近知って慌てて買いに走りました

しかし、本屋さんっていいものですね~
昔からワクワクしてましたが、入るだけで嬉しくなります

中古を扱う書店とは違う嬉しさがあります

…話を戻します


躍動感のあるフォームから放たれるキレキレのスライダーを武器に、西武ライオンズ一筋21年、182もの白星を積み重ねました

飄々と投げ続け、契約更改では一切もめず、他球団ファンの方にも愛されたと思います

打たれたときは「ああ~」という顔をしますが、なんというか西口さんの特権のような気もします

若手がそれやると怒られるそうですから

この本には、そんな西口さんがアマチュア時代からプロ引退までどんなことを考えながらやってきたのか、記録やタイトルについてのこと、後輩たちに対して思うこと、これからのことなどが書かれています


今までプロ野球を見続けて、僕の中では西口さんを超える選手はいません

引退登板の時、スタンドから最後の勇姿を焼き付けました
涙が止まりませんでしたし、思い出しただけで泣けます

井口選手との対戦はフォアボールでしたが、本では「そこは普通ストライクやろとマウンドで言った」と書かれています
現役最後の球は低かったけど、いいボールでした

西口さんを語る上で外せないのがノーノー未遂と完全未遂ですが、それは知ってる人も多いので省きます

誰かと争うことは性格的に苦手だった西口さんが戦い続けた相手は自分自身であり、周りの人達がいい人たちだったから頑張れたそうです


有望な若手が多いライオンズは、もしかしたら投手王国の再建が出来るかもしれません

そのためには西口投手コーチの力が必要です

これからも西口さんを応援していきます

『火花』又吉直樹 [読書]

ちょっとフィーバーが落ち着いた感がありますが、『火花』を読みました
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お笑い芸人が書いた文学、と毛嫌いしては勿体無い良作です


あらすじは…

駆け出しのお笑い芸人・徳永は、4歳上の芸人・神谷と営業先で知り合う

天才肌の神谷に心酔した徳永は、伝記を書くことを条件に弟子入りさせてもらう

そして、この日から二人の友情は始まり、最高の笑いを目指して突き進むが…


と、こんなかんじです

物語はフィクションではありますが、妙にリアリティを感じずにはいられません

若い頃に何かに打ち込んだ人には、きっと理解できると思います


神谷は天才肌と書きましたが、そのために変人扱いされることもあります

争い事の嫌いな心の優しい男なのですが、それが優しいということに気付かないほど、とても不器用でもあるのです

その反面、美しい風景でさえも笑いのためなら平気で破壊してしまう

そういった危うさも併せ持ち、見栄を張る破滅型の人間でもあります

登場人物としては魅力的ですが、彼の人間性故に、幸せなのか不幸なのかわからない結末を迎えます


神谷の考え方に共感できるかどうかで、この作品の評価が別れるかもしれません

映画化されるようなことがあれば、文庫化されてまた売れそうな予感です!!

『イニシエーション・ラブ』乾くるみ [読書]

読書のペースが上がってきた今日この頃です

劇場版が絶賛公開中の『イニシエーション・ラブ』を読みました
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最後の5分で全てが覆るという謳い文句に踊らされ、作者にやられてやろうと原作を手に取った次第です


結論から言うとやられました(笑)

たしかに、途中途中で「変だな」と思うところは何度かありました

それらは伏線だったわけですね~

基本は恋愛小説なんですが、最後から2行目でミステリー小説に変わります

この作品のトリックに似たようなものは、以前に読んだものであったような気がします
(摩耶雄嵩さんの『螢』は近いかも?)

まあ、トリックがどんなものだったかは伏せるとして…

物語の舞台が80年代でなければいけなかった理由があるはずです

僕の見解ですが、『携帯電話が普及していなかった』ということです

携帯電話の着信履歴やメールを見られると成立しないからです

もうひとつ、物語はカセットテープになぞられて描かれていますので、
カセットテープが一般的だった80年代を舞台に選んだのでしょう


この作品は映画にしろ、原作にしろ、これから楽しもうと思っている人が多いのではないでしょうか

なのでネタバレは書きません

是非、おおいにやられてやってください(笑)


『螢』摩耶雄嵩 [読書]

お気に入りの作家さんのひとり、摩耶雄嵩さんの『螢』を読みました
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摩耶さんといえば、とんでもない設定で最後には大どんでん返しをしてくれるので、
それが好きな人にはたまらない作家さんです

今度はどんな仕掛けが待っているのかと、期待しながら読めました


このお話の舞台は、京都の山奥にあるファイアフライ館という、曰く付きのお屋敷です

何故曰く付きかというと、元の所有者である天才作曲家が、発狂して7人を惨殺した場所であるからです

嵐の中ここを訪れた物好きどもは、大学のオカルトスポット探訪サークル「アキリーズ」のメンバーたちです

合宿気分で騒いでいたメンバーたちですが、そんなとき第一の殺人が起こります

電話線は切られ、ケータイは圏外

大雨により橋は壊れ、逃げることもできない

だから犯人はこの館にいる…


という具合です

最初はなかなか話が進まないのですが、第一の殺人が起きてからは、一気におもしろくなります

続きが楽しみで仕方なくなります

僕は犯人当ては苦手なんですが、犯人はこいつだなと、確信を持って読んでいました

しかし、読み手をそう思わせる書き方だったんですね~

僕も見事に引っ掛かってしまいました

良い客です(笑)

で、これはよくある叙述トリックってやつですけど、その他に斬新な叙述トリックがありました

それは、性別誤認トリックです

女だと思ったら男だった、またはその反対なんてのはありますが、この『螢』では、読者側は本当の性別を知っていて、登場人物たちが知らないという、かなり変わった叙述トリックです

これを物語の核にしている作品も今ならあるかもしれませんね
(『螢』は2006年の作品です)


そして、お約束の大どんでん返しはというと、ちょっとインパクトに欠けますが、
なんともいえない虚しさを読み手に与えてくれます

ネタバレしちゃっていいですかね?

犯人を捕まえ、犯人への尋問が終わったとき、館が土石流で倒壊しちゃいます

全員死亡かと思いきや、生存者は1名

回復を待って警察は事情を聞く、と作品は締め括られています

この生存者って犯人ですよね、絶対!!

危険を顧みずに真相に辿り着いたのも束の間、文字通り全てが水の泡になっちゃいました

読者を突き放すこのかんじ、けっこう快感ですよ(笑)


こんな風にブログ記事を書いたら、「ふざけんな!!」って思われるでしょうね~

書けたら…ですけどね



ニンジャ殺すべし!! [読書]

皆さんは「ニンジャスレイヤー」をご存知でしょうか?

僕は最近知ったニワカですが、けっこうハマりました
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作者は2人のアメリカ人で、日本人が翻訳しているというかたちではありますが、
作者の書いたままを載せているため、結果的には間違いだらけです

が、そこが面白い(笑)

例えば…

インガオホー →因果応報

平安時代の哲学者 ミヤモト・マサシ →江戸時代の剣豪 宮本武蔵

スモトリ →相撲取り

フートン →布団

キンボシ・オオキイ→大金星

挙げればキリがありません

少し日本語がわかるアメリカ人が日本語を使ったら微妙に間違っていて、面白いから翻訳チームがわざと残しているんでしょうね


お話はというと、凶悪なニンジャがはびこる未来の日本が舞台でありまして、
主人公は本名をフジキド・ケンジといいます

クリスマスの夜、妻と息子と外でディナーを楽しんでいたとき、ニンジャ同士の争いに巻き込まれ、
妻と息子は殺されてしまいます

自身も瀕死の重傷を負いますが、彼にニンジャ・ソウルが憑依し、超人的な力を得て復活します

そして、ニンジャスレイヤーと名乗り、妻と息子の仇を討つべく、全てのニンジャを抹殺することを誓うのでした


変な日本語がたくさん出てきますし、戦闘は「イヤーッ!!」「グワーッ!!」で終わることもあるため、
おバカっぽいかんじではありますが、フジキド・ケンジの内面を丁寧に描いているエピソードや、ハードボイルドなエピソードもあったりで、「なんだ、ちゃんと書けるじゃん」と思ってしまいます

ただし、変な日本語がたくさん出てくるため、読んでて疲れます(笑)

かなり読んだつもりが、全然ページ数行ってなかったり…


友達の話だと12冊あるらしく、僕はまだ3冊目を読み終えたところです

先が楽しみであり、気が重いです(笑)

船戸与一さん 逝く [読書]

訃報です

作家の船戸与一さんが亡くなられました(享年71)

これまで人並みに本を読んできましたが、船戸先生の「猛き箱舟」に勝る作品には未だ出会えていません

同じ山口県下関市出身ということもあり、船戸先生の作品はいくつか手に取りました


作品の特徴としては、舞台となるのは主に海外で、テロリストが頻繁に登場します

銃撃戦が繰り広げられ、たくさんの死人が出ます

主人公が死んでしまうものもありました

長編に輪を掛けたような長編なので非常に長いですが、登場人物同士の会話のやり取りに船戸先生の拘りを感じられますし、ストーリーはよく練り込まれています

ニュースでは、「砂のクロニクル」を代表作として挙げていましたが、僕のオススメは「猛き箱舟」と「山猫の夏」です
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冒険小説という言葉がとてもよく似合います

哀悼の意を込めて、まだ読んでいない船戸作品を手に取ろうと思います

『貴族探偵』麻耶 雄嵩 [読書]

好きな作家さんの一人が麻耶 雄嵩さんで、これまでに数作品読みました

今回ご紹介する『貴族探偵』は、同氏が得意とする個性的なキャラクターが主人公です
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貴族探偵とは通称で本名は不明、執事やメイドや運転手といった、いわゆる使用人たちを連れていきなり事件現場にやってきてす

警察の上層部よりも権力を持っているらしく、気品はあれど横柄で怪しい人物です

名探偵なのかというと、推理は使用人がしますのでわかりません

本人曰く、そんな面倒なことは使用人がすればいい…

基本的には何もせず、話に登場するヒロインを口説くだけですので、最後まで有能なのか無能なのか謎のままです

なんだかよくわからない主人公ですが、収録されている5編の短編はどれも面白いトリックですし、
麻耶さんらしさを感じられます

続編となる『貴族探偵 対 女探偵』という作品も刊行されているようです

同氏の銘探偵・メルカトル鮎並みの変なキャラクターですが、長く楽しめるシリーズになってほしいです


今年の記事もこれで最後です

いつもご覧になって下さってる皆さま、ありがとうございました

また来年もよろしくお願い致します

「Nのために」湊かなえ [読書]

榮倉奈々さん主演で放送中の連ドラ「Nのために」

僕もたまに観ています

たまになのでそれほど熱心にというわけでもないかわりに、原作を読んでみたくなり、本屋さんで買ってきました
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ページ数は300とちょっとでしたので、すぐに読めました

放送中のドラマの原作を読むというのは初めてでした

ドラマで観ているおかげで、登場人物をイメージしなくてもいいということが楽でした




原作では、各主要人物の視点から描かれるため、時系列などいろいろとごっちゃになりそうですが、
うまくまとめられています
(それでもたまに混乱しました)

物語の核となる殺人事件にそれぞれが関係しており、それについての真相が語られます

が、それぞれが誰かのために嘘をついていたりします

タイトルのNというのは、主要人物たちのイニシャルなので「Nのために」なのです

ネタバレになりそうなのであまり書いちゃダメですね!!


湊かなえさんの名前を一躍有名にした作品は、「告白」で間違いないでしょう

人間の負の部分を描ききり、湊かなえ=陰鬱な作品というイメージを僕は持っていました

この「Nのために」も例に漏れずなのですが、テーマは愛のようです

あとがきを読んでみて、なるほどなと思いました


さて、ドラマ版では殺人事件の真相とは?Nとは誰のことなのか?

その二つが大きな焦点となっています

結果がわかってしまった以上、製作側がどう解釈をしたかを楽しみにドラマを観ていきたいと思います




『その女アレックス』読破 [読書]

友人から借りた『その女アレックス』

作 ピエール・ルメートル
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表紙の絵とカタカナの名前を覚えるのに抵抗はあったものの、帯に書かれてある「あなたの予想は全て裏切られる」というキャッチコピーに心を鷲掴みにされました


あらすじはこんなかんじです…

パリに住むアレックス30歳 女性

仕事は非常勤の看護師

特別美人でもなく、恋人や仲の良い友達もいないが、シングルライフを満喫している

ところが、ある時、巨体を持つ男に痛めつけられ拉致・監禁される

男はアレックスに恨みを抱いており、殺す目的で檻に閉じ込めるが直接は手は下さない

やがて警察も動きだし、男の正体を掴み追及するが、男は死んでしまう

何故、アレックスは狙われたのか?

アレックスは生き延びられるのか?


…というところから始まりまして、物語は目まぐるしく展開していきます

まるで、監禁の話が無かったかのように進みますので、監禁ものかと思いきや、全く別の話になっていきます

アレックスに感情移入すると、「頑張れ」とか「こいつやべぇ」とか様々な感情が読み手に芽生えてきます

また、読み進めて行く内に僕の予想はあっさりと外れてしまい、早く真実を知りたいという欲求に駆られました

真実を知ると唖然としてしまいます

主人公であるカミーユ警部は、真実を知った上で敢えて違う選択をするのですが、
これはこれでいいのかな、とも思いました


ところで、この作品を読んで感じたことは、人物の描写がとても丁寧だということでした

人物描写などは、例えば連載中の作品は途中からでも楽しめるように、前章でされた同じ説明をまた書いてあったりします

しかし、この作品には最低限のことしか書かれません

それでも、人物の特徴をよく捉えている説明なので、全く無駄に感じません

それが展開の早さに繋がっていると僕は思います

高い文章力の為せる技です!!

というわけで、一気にピエール・ルメートルさんのファンになりました

どうやら映画化の話もあるそうなので、そちらも楽しみです♪


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