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『Pの密室』島田荘司 [読書]

最近のお気に入りの名探偵・御手洗潔シリーズ

今作は中編2作が入った『Pの密室』のご紹介です
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2作とも御手洗潔の幼少期のお話です

読みながら、名探偵コナンを思い出し「コナンよりすげえ!!」
なんて思ってしまいました



まずは「鈴蘭事件」…

5歳の御手洗少年には幼なじみのえり子という友達がいた

えり子の家は夫婦でスナックを経営していたが、ある日、父親は車に乗ったまま海に落ちて亡くなってしまう

同じ日、店が何者かに荒らされる

警察は、父親は事故死で店は物盗りの犯行として幕を引こうとしたが、現場を見た御手洗少年は、
父親は他殺であり店が荒らされたことは関係があると主張する…


表題作「Pの密室」…

小学2年生になった御手洗少年

近所で、有名な画家が弟子と一緒に自宅で殺されるという事件が発生し、警察は容疑者を逮捕した

しかし、過酷な取り調べによる自白だけで、たしかな証拠が得られていない

事件から1ヶ月経過した頃、興味を持った御手洗少年は現場を見に行く…


IQ200の天才でありながら、あまりにも幼いためにどちらの事件でも最初は警察から相手にしてもらえません

そりゃそうですよね

捜査のプロにわからないことを子供がわかるはずがないと思うでしょうから
(だからコナンは最後に大人を使うわけですね)

これから読む人もいるかもしれないので、ネタバレ的なことを避けますが、「Pの密室」の最後のページは本当に切ないです

あまりにも切なくて、読まなかったことにしたいほどです

作中で御手洗少年は言います
「誰かを助ければ、別の誰かが罪に落ちるんだ…」

これが最後のページに関わってきます


人が人を殺すことはあってはならないと、人間は本能的に悟っているんだと思います

ですが、殺人事件は起きます

加害者は法で悪人として裁かれますが、必ずしも加害者が悪ではないということもあるでしょう

この「Pの密室」の加害者には、どうしても感情移入せざるを得ません

殺人という悪いことをしたのに、幸せになってもらいたいと思うはずです

事実、最後はとても幸せそうで微笑ましいですが、そのあとに起こることを考えるともう…


読破してスッキリとした気分と、後味の悪さの両方を味わえる『Pの密室』でした(笑)

ハッピーエンドにさよならを 歌野晶午 [読書]

ひさしぶりの読書ネタです

一編がサラっと読める短編集『ハッピーエンドにさよならを』をご紹介します
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爽やか路線の『葉桜の季節に君を想うということ』で超有名になった作者さんですが、これは後味の悪いお話ばかりを集めています

よくもまあ、こんなに悲しい話を作ったもんだと思いながら読みました


やるせない気持ちになるのは全てに共通しますが、特にそうなったのが「サクラチル」と「In the lap of mother」です

前者は決して幸せな人生を歩んできたとはいえない中年女性のお話です

駆け落ちして一緒になった男性が病気になり会社をクビになり、酒に溺れはじめます

妻である女性はパートを掛け持ちして生活をやりくりします

夫の暴力に耐えながらも頑張れたのは、一人息子の存在

やがて息子は、父がクビになったのは学歴が無かったからだと思い始め、勉学に励んだ末に東大を受験する

しかし落ちる

慶大や早稲田には合格していたものの、母を楽にさせたいからと東大を受け続ける

そして、長い月日が経ち、父と同じように酒に溺れ、暴力を振るうようになる

息子は東大受験には失敗を繰返し、女性はボロボロになりながらも働く

やがて女性にも限界が来て息子を殺してしまうが、自身は近所の人に助けられ死にきれず…


後者はパチンコに狂った母親の話

パチンコにまつわる不幸なニュースが流れる現代

自分は失敗はしないと、子供を側に置き、ヘッドホンを付けアニメを見せている

負けがこみ、取り返すために打ち続けるが、お昼になり「お腹すいた」と子供が訴える

しかしまだ負けているため、もう少ししたら美味しいものが食べられると説得する

その内に夕方となり、さすがにやめ時と思った母が子供と帰ろうとしたとき、その子はピクリとも動かない

あまりの空腹に耐えきれず、パチンコ玉を飲み込み窒素死してしまった…


本当にやりきれない話なんですが、ついつい読んでしまうところが、作者さんの妙なんでしょう

または、人間の中にある残酷性がそうさせるのかもしれません

辛い気持ちになる作品でしたが、ネタとなる事柄が今の世の中に溢れている現実が、やはり恐ろしいです

月と蟹 道尾秀介 [読書]

ちょっと前になりますが、道尾秀介さんの『月と蟹』を読みました
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道尾さんの直木賞受賞作品でもあります

デビュー作の『背の眼』に代表されるようなミステリー色は抑えられ、
同氏にしてみれば珍しい純文学です


舞台は鎌倉

主人公の慎一は小学5年生で、親の都合で東京から引越してきたが、クラスメイトと馴染めずにいる

しかし、同じ引越し組の春也とはウマが合い、秘密基地を作る

そこで、ヤドカリを神様に見立て火で炙り願い事をするという遊びを作る

最初は二人だけの遊びだったが、慎一が想いを寄せる鳴海という女の子も仲間に入れる

春也はそれを快く思わなかったが、時間が経つにつれ打ち解け、慎一は嫉妬するように

それぞれが複雑な家庭の事情を抱えており、3人の関係も次第に崩れていく…


というかんじですが、思春期の頃を思い出すと、苦笑いするようなことがたくさんあったと思います

大人になった今となっては何でもないことなんですが、そういった描写が丁寧に描かれています

最初はなかなか話が進みませんでしたが、これは道尾さんの特徴でもありまして、後の方で畳み掛けるように話が進みます

ラスト手前ではドキドキしましたし、話的にはハッピーエンドと言えるのかもしれませんが、なんかスッキリしないんですよ

でも、思春期ってモヤモヤすることばかりだったと思うんです

何を本当にやりたいのかもわからないとか、自分の力の無さを痛感するとか、思い通りにいかなくてイライラするとか、少なくとも僕はそんなかんじでした

このスッキリしない雰囲気は、思春期の少年少女の気持ちを掛け合わせているんだろうなと思うと、
妙に納得してしまいました

作家さんってすごいですね~


道尾秀介さんは、まだ40手前という若さながら多数の作品を発表されております

これからも楽しみな作家さんです

真備シリーズといわれるミステリーものが僕のオススメです

不思議の国のアルバイト探偵 大沢在昌 [読書]

昨年末より読書のペースがガタ落ちで、今も落ちたままです
特別忙しいわけでも、読書に興味が無くなったわけでもないんです

電車で爆睡してるから進まないだけです

そんな中、最近読んだ作品をご紹介します

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大沢在昌さんの『不思議の国のアルバイト探偵』

これはアルバイト探偵シリーズのひとつで、主人公は高校3年生の冴木隆(サイキ・リュウ)

元凄腕のスパイで現在は探偵事務所を構える親父と二人暮らし

舞い込む仕事は内閣府のお偉いさんからの危険な仕事ばかり

そんな仕事を手伝ってしまうため、テロリストや軍隊を相手にして拉致られることもしばしば

おかげで学校にはあまり行けず、成績もパッとしないため、留年の危機にさらされている


大まかにはこんなかんじですが、お調子者のハードボイルドなシリーズです

隆も親父もユーモアたっぷりで、読んでて飽きない上に、ちょっとしたミステリーもあるので、かなりのめり込めます

今回読んだ『不思議の国のアルバイト探偵』では、親父の腹違いの兄が、
親父がこの世で一番憎む相手として登場します

その兄に隆が拉致され連れて行かれた所は、スパイを養成する街だったのです

外部との連絡は一切とれず、テレビなどもありません

街に住んでいる人の素性もわからない

しかも、最近になって殺人事件も起こっているという、とんでもない街です

ここをどうやって脱出し元の生活に戻るのか…

そんな話です

ある意味、主人公は不死身ですからご都合主義で進むわけで、
それを読者がわかっているから、どういう舞台を作って、どういう展開で楽しませるかということが、
書き手からすると難しいんじゃないでしょうか

大沢在昌さんと言えば『新宿鮫』ですが、それ以外のシリーズの主人公も、
かなり魅力的なキャラだったりします

やっぱりこれは才能ですかね~

余談ですが、『新宿鮫』の鮫島警部は野方に住んでいる設定です

そうです、ご近所さんです(笑)


北の狩人 大沢在昌 [読書]

日本のハードボイルドの巨匠・大沢在昌さんの「北の狩人」を読み終えました
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上下巻の2冊でしたが、2週間くらいかかりました

どうも最近はペースが上がりません

この「北の狩人」というのは狩人シリーズの1つで、主人公は毎回違いますが、新宿署の佐江刑事という人が、主人公を援護するかたちで毎回登場します

今作品の主人公・梶雪人が歌舞伎町にフラフラとやってきて、キャッチバーに連れていかれるところから話は始まります

当然ながらぼったくりバーなので、お金を払わなかったので怖い人達が出てきますが、逆に彼らを簡単にねじ伏せてしまいます

梶は極道の田代組を知っていそうな人間に会うために、わざとそういう相手に尋ね回っており、それを快く思わない人が当然ながら出てきます

梶の正体とは?
梶の目的とは?


途中で登場人物がごっちゃになりましたが、スピーディーな展開で飽きがきませんでした

適度に謎を配置して読者を引き込むテクニックは流石と言えます

真相を知りたいというのが人間の心理ですもんね

作中にこんな例えが出てきます
「新宿ってのは海みてえなもんだ。小魚がプランクトンを食べ、それより大きな魚が獲物を狙ってる。食うものと食われるものは決まってるんだ」

新宿と言ってますが実際は歌舞伎町です

初めて歌舞伎町に行ったとき、得体の知れない恐ろしさを感じたものです

歌舞伎町で働いてたこともありますが、今は用が無いので行きません

そうです
海に入らなければ食われませんから…

密室殺人ゲーム王手飛車取り [読書]

今回の記事は、大好きな作家さんのひとり、歌野晶午さんの作品です
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年明けから読み始め、途中でだらけ、読み終えるまでに2週間かかりましたが、
つまらないわけではありません
とても斬新な設定でした

舞台はインターネット上

素性不明の5人

出題形式で実際に起こった殺人事件を推理するというもので、
1人が出題しあとの4人が考えます

何が斬新な設定なのかというと、出題者が犯人であるということです

その犯人から、殺害時刻や犯行状況などのヒントが出され、それを元にトリックを解明していきます


これまでのミステリーは、犯人を当てることが大前提でしたから、面白い視点だなと思いました

ニュースになるほどの殺人が5人の手で行われるわけですが、無差別な殺人ですし、「こんなやつらに殺されたくねー」と思います

まあ、誰からも殺されたくはないですけど…


話自体は500Pの長丁場なんですが、中途半端な形で終わります

スッキリしないなあと思ったら、続編が2刊もあるとか

ですが、続編と言えども話は続きということでもないらしく、読む気がしないので今のところは保留です


しかし、次から次へとよくトリックを考えられるもんだと感心してしまいます

僕には、ミステリー作家さんのトリックに驚くことしかできません

隻眼の少女 麻耶雄嵩 [読書]

麻耶雄崇(まや・ゆたか)さんの「隻眼の少女」を読みました
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びっしり500ページの長丁場でしたが、完全に世界に引き込まれました

実は、デビュー作の「翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件」を読んで以来、麻耶さんの書くトンデモない展開が好きになり、
書店で探しては買って読んでいました

この「隻眼の少女」とは、主人公の種田静馬が探偵・御陵(みささぎ)みかげの助手見習いとなり、琴折(ことさき)家に起こった猟奇殺人を推理するというものですが、やはり展開はトンデモない方向へと進んでいきます

これまでの作者の手法通り、一度は犯人だと指摘した人間が犯人でなく、別に真犯人がいて新たな殺人が起こります

御陵みかげの華麗なる推理が披露され、事件は解決するのですが、ここには違和感が残ります
「なんか変だなあ」と思いながら読み進めていました
そして、舞台は18年後に移ります
この事件のあと御陵みかげは、後に数々の難事件を解決したものの、ある事件の犯人の手により命を落としたことが発覚します

みかげの死を知った主人公の種田静馬も、失意の中、また琴折家のある村へ戻ってきます

そこで、みかげの娘に出会います
名前は同じく御陵みかげ…

そして、琴折家で18年前と同じ手口の猟奇殺人が起こり、主人公の種田はみかげの娘・御陵みかげの助手として解決に乗り出す!


犯人は意外というかなんというか、この人しかいないだろうという感じではありましたし、
18年前の疑惑も一気に晴れるんですが、作者にしては珍しくおとなしめな結末ではありました


微笑ましいエンディングでしたし、それはそれでいいのですが、
麻耶さんらしくないというかんじです(笑)

とはいえ、かなり夢中になれる良作に違いありませんし、語り手と同じように読書側も「どういうことだ!?」という感覚になれます!!

いつか機会がありましたら、麻耶さんのオリジナルキャラクターでかなりぶっ飛んでいる、
メルカトル鮎について書きたいと思います

トラウマ映画館 [読書]

映画評論家・町山智浩さんによる「トラウマ映画館」を読みました
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いやあ、面白かった!!

この中には、現代の有名映画のモチーフになった作品の紹介や、なぜ町山氏がトラウマになったのかが、
作品ごとに紹介されます


25作品分の紹介がありますが、見事に全部知りません(笑)
マニアックなのか?と思われそうですが、そうではありません

DVD化されていなかったり、今はテレビ放送していなかったりで、忘れ去られているだけです
それは、残虐描写や過激な性表現、人種や身体的な差別が理由だったりします

当時は批評家たちからも袋叩きに遭い、興行的にも振るわなかったりですが、
アカデミー賞にノミネートされていたりもするので、駄作というわけでもなさそうです

どうやら、これからも観る機会が訪れなさそうなんですが、
町山氏が25作品全て、丁寧にわかりやすく解説をしてくれます


どうせ観られないなら、何でトラウマになるのか知りたいじゃないですか♪


全て読み終えて、「これはトラウマになるわ…」というやつばかりでした
耐性の付いた大人ならまだしも、多感な子供時代に観たらキツイでしょう


この本の凄いところは、ガイドブックでありながら金を生まないというところです!!
ソフト化されていないやつばかりですからね(笑)

そういえば、子供の頃に日曜洋画劇場で変な映画を観ました
主人公の少年が、小人たちと時空をワープして敵を倒しに行くとかいう、
3流ファンタジーものだったんですが、最後にやっと元の世界に戻ってきたのに、
両親が変な石に触って消えてしまうんです
呆然とする少年に対し、消防士かなんかが頭を撫でて去っていくという結末です

僕も呆然としました
そして「オライナエ、オライナエ~♪」という歌が流れて終わり…
誰か解説してくれ!!
そう思った瞬間に親父がテレビを消し寝に入りました

その夜はなかなか寝つけなかったことを覚えています

「バンデッドQ」という映画で、音楽はジョージ・ハリスンが担当ということを知ったのは、
それから10年後でした
近所のレンタル屋さんで借りてはみたものの、映画自体はつまらんものでした(笑)
最後のシーンもやっぱりよくわかりませんでしたが、気にならなくなりました

トラウマ克服ですね!!

他にも「マニアックコップ」のマッド・コーデルも子供心に怖かったんですが、
大人になって観れば大したことはない!!

今の時代は規制だらけです
それも必要なのかもしれません

ただ、真実を伝えたいと願うクリエイターたちには不満なんでしょうね

夢枕獏 陰陽師シリーズ [読書]

安倍晴明という人をご存知でしょうか?
歴史の教科書に出てくるわけでもないのに、意外と多くの人に知られています

安倍晴明とその親友の源博雅が活躍する作品が、
夢枕獏(ゆめまくら・ばく)先生の「陰陽師」シリーズです

これほど楽しみにしているシリーズものは無い!!というくらい好きです
これまで全部読んでいます

その新刊「陰陽師 醍醐の巻」を読みました
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短編なのですが、どれも秀逸なエピソードです
基本的には晴明と博雅が晴明の家で酒を飲んでおり、博雅が奇怪な出来事の解決を晴明に頼むパターンと、晴明が奇怪な出来事の解明を直接請け負うパターンがあります

で、結局のところ二人は一緒に行きます
博雅は役に立つのか?と思われるかもしれませんが、雅楽に通じている笛の名手であることから、
笛の音によって解決してしまうこともあるのです

ただの妖怪退治だけではなく、
中には心暖まるエピソードもあります

短編なのでさらっと読めてしまうのが嬉しいやら悲しいやらですが、
長編ものもありました
「生成り姫」です
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僕はこれを読んで涙が止まりませんでした

内容はというと、
…藤原済時(ふじわらのなりとき)という男が原因不明の病にかかる
時を同じくして貴船神社に丑の刻参りに来る女の姿が確認される
この二つの話を聞いた晴明と博雅は、真相を確かめるべくに身を乗り出す

その結果、藤原済時の病は、この女の丑の刻参りの効果だと判明

何故このようなことをしたかというと、この女は藤原済時に捨てられたことを恨んだため
その情念の深さから人間から般若になりかけてしまう
しかし、悲しいことにその女は、伝えられなかったものの、12年前に博雅が想いを寄せた相手だった…
そして、最後に互いに想いを寄せていたことがわかる…


人間の状態から般若になる前の段階を生成りというそうです
この作品の根底にあるのは男と女、人間の情念なのですが、
博雅の深い愛がとても切なく響いてきます

夢枕獏さんも泣きながら書いたんじゃないか、
というくらい美しい話です


陰陽師シリーズ全般に言えることですが、最後はしんみりとします
「あれでよかったのか…」
「俺にはわからぬ…」

「わからないでいいではないか。今のこの刻を大事にしようではないか」と、
そういった結論を出してまた酒を飲むこの二人が大好きです!

捕鯨について思うこと [読書]

たびたび僕の読書サイクルに登場する浅見光彦シリーズの、「鯨の哭く海」を読み終えました
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和歌山県の鯨漁にまつわる殺人事件のお話なんですが、鯨漁があったことを知らない人も多いかもしれません

日本では、昔から鯨を食べる習慣があり、僕の生まれた山口県・下関市も捕鯨調査船の母港があることから、
鯨ベーコンや唐揚げなんかを子供の頃はよく食べました


戦後は、鶏や豚に比べて鯨の方が安かったそうです
現代では無理に食べる必要はありませんが、その当時は生きるために必要なものだったのでしょう


下関は、フグと並んで鯨がシンボルの街でもあります
鯨に対して悪意を持ってる人はいないと思います
当たり前のように鯨肉が売られています

しかし、それを快く思わない人達もいます
むしろ、そっちの方が多いでしょう

現在、ワシントン条約では鯨の商取り引きが禁止されていますが、
決定を不服とした日本と他数ヶ国が調査目的で捕鯨をしています

それ自体は違法ではありません
しかし、グリーンピースを中心とした団体から非難されているのが現状です

『何故、鯨を捕ってはいけないのか?』
可愛いし、人間に友好的だからです!

『じゃあ、豚や牛や鶏はいいのか?』
食用として飼育してるからいいんです!

作品に出てくる捕鯨反対派の主張が上記のものですが、納得出来るような出来ないような、
そんな印象です

対して捕鯨推進派の意見は
『何故、捕鯨を推進するのか?』
鯨は体も大きく食べる魚の量も多い
そのためにイワシやサンマの漁獲高が減っていることも事実
このままでは、人間が魚を食べられなくなってしまう
間引きをすることも必要だ

という意見なわけです
作中で浅見光彦本人も違和感を覚えるのですが、違和感の正体は人間の都合だけで話しているということです
しかし、魚がいなくなったら困るのも事実です
キレイごとは言ってられない、ということですね

どちらにも一理あります

多分ですが、解決することはない問題だと思います
鯨が人間寄りの生物だからなんでしょう
人間を襲う生物だったら問題にならないことです

何の責任のない僕の立場から言わせてもらうなら、
1.魚が食べられなくなるのは困る
2.鯨が憎くて捕鯨する人はいない(だろう)
3.魚が増える環境作りを優先しては?

という意見です

食文化は国や地域によって様々です
そんなもん食べるのか!?と驚くことはありますが、それはお互い様です
理解し合えないものと割り切ってもいいと思います
そもそも、国民性や環境が違うんですから

やっぱり難しい問題ですね…

ついでですが、イルカも鯨の仲間です
鯨を食べておきながら言うのはなんですが、イルカは無理ですわ…

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