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『螢』摩耶雄嵩 [読書]

お気に入りの作家さんのひとり、摩耶雄嵩さんの『螢』を読みました
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摩耶さんといえば、とんでもない設定で最後には大どんでん返しをしてくれるので、
それが好きな人にはたまらない作家さんです

今度はどんな仕掛けが待っているのかと、期待しながら読めました


このお話の舞台は、京都の山奥にあるファイアフライ館という、曰く付きのお屋敷です

何故曰く付きかというと、元の所有者である天才作曲家が、発狂して7人を惨殺した場所であるからです

嵐の中ここを訪れた物好きどもは、大学のオカルトスポット探訪サークル「アキリーズ」のメンバーたちです

合宿気分で騒いでいたメンバーたちですが、そんなとき第一の殺人が起こります

電話線は切られ、ケータイは圏外

大雨により橋は壊れ、逃げることもできない

だから犯人はこの館にいる…


という具合です

最初はなかなか話が進まないのですが、第一の殺人が起きてからは、一気におもしろくなります

続きが楽しみで仕方なくなります

僕は犯人当ては苦手なんですが、犯人はこいつだなと、確信を持って読んでいました

しかし、読み手をそう思わせる書き方だったんですね~

僕も見事に引っ掛かってしまいました

良い客です(笑)

で、これはよくある叙述トリックってやつですけど、その他に斬新な叙述トリックがありました

それは、性別誤認トリックです

女だと思ったら男だった、またはその反対なんてのはありますが、この『螢』では、読者側は本当の性別を知っていて、登場人物たちが知らないという、かなり変わった叙述トリックです

これを物語の核にしている作品も今ならあるかもしれませんね
(『螢』は2006年の作品です)


そして、お約束の大どんでん返しはというと、ちょっとインパクトに欠けますが、
なんともいえない虚しさを読み手に与えてくれます

ネタバレしちゃっていいですかね?

犯人を捕まえ、犯人への尋問が終わったとき、館が土石流で倒壊しちゃいます

全員死亡かと思いきや、生存者は1名

回復を待って警察は事情を聞く、と作品は締め括られています

この生存者って犯人ですよね、絶対!!

危険を顧みずに真相に辿り着いたのも束の間、文字通り全てが水の泡になっちゃいました

読者を突き放すこのかんじ、けっこう快感ですよ(笑)


こんな風にブログ記事を書いたら、「ふざけんな!!」って思われるでしょうね~

書けたら…ですけどね



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